時 代 | 天文十三年二月一日(1544) |
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形 状 | 刀 : 鎬造、三ツ棟 |
長 さ | 70.8cm / 二尺三寸三分六厘 |
反 り | 1.5cm / 一寸六厘 |
元 幅 / 重ね | 2.95cm (九分七厘) / 0.65cm (二分一厘) |
先 幅 / 重ね | 2.3cm (七分六厘) / 0.4cm (一分三厘) |
所 載 | 刀剣美術 平成18年5月号 / 第592号 |
認 定 | 特別保存刀剣 |
附 属 | 白鞘 / 金着一重ハバキ |
価 格 | 案内終了 |
平定盛
造込 鎬造 庵棟 先反り強く 元先の身幅差なく 肉残し 中鋒
地 板目に流れ肌交え、地沸付き、地景入り、表下半に淡く
映り立つ
刃 広直刃に小丁子 小互の目の頭を直調に揃え、小足、葉しき
りに入り、表二重刃を見せ、湯走りかかり、匂い口締まり、
小沸付く
帽子 焼深く、直ぐで入り、先乱れて小丸に返る
茎 生ぶ、目釘孔一、刃上がり栗尻、切り鑢目
彫物 棒樋ハバキ上角止め、添樋
■ 室町時代後期・豊後(大分県) 高田派の刀工 平定盛 の打刀です。
寸よく伸びて 先反りが一寸を超える姿。 元先の身幅差がほとんど変わらず、 全体に平肉がしっかり残り、僅かに覚える重量感に 本刀の健全さを感じます。
樋は鎬幅一杯に力強く彫られ、時代を示す角止めも見逃せません。
■ 広直刃の御刀、特に本刀の様な 匂い口の締まった直刃の場合、その見所は刃縁と刃先の 間 の処理にあります。 この間の取り方に刀匠の美意識、技量が如実に表れ、それは他分野の日本芸術とも共通し、極めて鋭敏な感覚を要します。
定盛の解は、まず刃縁より小足を “ちょんちょん” と置き、そして小さな葉を 直刃の様に並べ置きました。 こうすることで刃中に表情が現れ、しかしながら決してうるさくならず、観る者に安心感を与えてくれます。
この絶妙な間によって広直刃が生き、そうなることで 身幅と平地の比が しっかりと生きてきます。 全く見事な造形美也。 定盛の美意識、技量には、感服の他ありません。
■ 茎は生ぶ。 目釘孔も生ぶの一つのみ。 錆色もよく落ち着き、朽ち込んだところなく、銘も明確に読み取れます。 さらには物打の棟角に刀傷が一つあり、戦国の歴史を物語っています。
総体力強い姿ながら、何かしら おおらかさを感ずるのは、それが古刀の大きな魅力でしょう。
南北朝から新刀まで 連綿と続く豊後高田派。 御刀の多産な時代だからこそ生まれた優刀です。
干将庵 / 2012年10月15日
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