備前國住長舩清光作
造込 平造、庵棟、姿頃合いよく、浅く反り付く
地 板目流れごころ、特に指裏は強く流れ 沸映りたつ
刃 直刃調、下半は匂い口ウルみごころ、浅い互の目まじえ、
砂流し、小足入り、小沸付く
帽子 直ぐで入り小丸、指裏は返り長く沸映りに連なる
茎 生ぶ、目釘孔二、刃上がり栗尻、筋違鑢
彫物 表)真の倶利伽羅 裏)護摩箸
■ 織田信長が上洛を果たした永禄11年(1568)、その同じ年に作られた 清光 の短刀です。
長さ・身幅共に頃合い良く、僅かに反りを持った姿は この時代の特徴に適います。 地鉄は 備前物らしく板目よく練れ、流れごころあり、また映りも立っています。
刃文は直刃調、表裏共に下半はやや匂い口ウルミごころ。 総体匂いがちに小沸付き、浅い小互の目をまじえ、砂流しや小足を交えるなど、てらいの無い、素直な表情に好感が持てます。
茎の銘振りは、鏨(たがね)をしっかりきかせた、キリッと引き締まった字体。 まさに長舩一党の自負を知ることが出来ます。
■ 拵は、山銅(やまがね)地 木瓜(もっこう)形の小鐔を配した小サ刀拵。 縁と揃いの頭に[法眼清寿門 (保)元寿文]とあり、名工清寿の門人 寿文 の作と判ります。
また縁には[歳 宜々(うべうべし と読むか) 三友]と刻まれ、或いは三友なる御仁の注文による物でしょうか。
柄前と鞘のバランスも良く、色味もよくよく吟味され、清光が収まるに相応しい御品です。
■ 刀剣王国備前の一角を成す清光。 時代の特徴をよく示した御刀は、拵と共に優れる一振りです。
干将庵 / 2013年6月7日